目次
建設業許可申請(新規)特定・一般
建設業の許可がなくても工事1件あたりの請負金額が500万円未満なら許可はなくても工事を請け負うことは可能です。しかし、年々建設業界に対する遵法意識も高まり、建設業許可がない業者は大きな工事現場の下請けに入ることが出来ないことが多くなりました。また、建設業許可とは別に現場に入るために各種保険の加入を義務付けるなど、ここ20年間で大きく変わったなと感じています。
そんな状況で建設業許可を取得しようと考えている業者様も多いと思います。建設業許可を新規で取得する場合には、いくつかの高いハードルがございます。経営経験が豊富であること、資格所持や実務経験が豊富であること、資力が豊富であること、欠格事項に該当しないことなど様々なハードルがございます。出来ないと思い込んでいても許可が通る事案もあり、一概には言えないこともありますので悩まれたら是非一度ご相談下さい。建設業界に10年以上携わった経験のある行政書士だからこそスムーズにお手伝いが出来るのではと思います。
このように許可に高いハードルがある事は、逆に言い換えれば許可がされれば対外的な信用が高まります。将来的に融資も受けやすくなるでしょうし、営業もやりやすくなります。許可を申請するメリットは非常に大きいです。
また、今は許可が必要でなくてもいずれ必要になる可能性もあります。その時に証拠書類の収集に苦労する場合もありますから、事前に準備をしておくと将来許可申請時にスムーズに進めることが出来ます。このようなアドバイスは是非専門家である我々行政書士にお任せ下さい。
※行政書士でない者が官公署の窓口に提出する申請書等を、他人の依頼を受け、報酬を得て反復継続して作成することは行政書士法に違反しますのでご注意下さい。
建設業新規許可申請の主な要件
- 経営者としての経験があること。
この要件は、経営業務管理責任者のことで通称ケーカン(経管)と呼ばれています。建設業許可の要件で一番ハードルが高いものと思ってます。建設業経営者としての経験が求められるのですが、原則5年必要で証拠書類を揃えるのにも苦労します。
法人ですと役員登記がされているかが鍵になります。執行役員や役員に準じて補佐経験があれば認められる可能性がありますが、証拠書類を揃えるのに前職の会社の協力が必要不可欠で、協力を得られず断念するケースもあるのです。
個人事業者ですと原則として建設業としての確定申告書5年分用意しないといけません。一人親方の場合、税金の事は詳しくないのか確定申告すらしてないケースもあるのです。そうなるといくら真面目に建設業を経営していたとしても相当大変です。確定申告は期日後でも可能ですが、無申告加算税・延滞税などペナルティが発生するので税金が莫大になって許可申請以前の話になってしまいます。
特に建設業以外の経営経験では全く意味がなく、この要件は個人的にいかがなものかと思います。
換言すると、非常に厳しいこの要件をクリアするとかなり前進出来るかと思います。
- 有資格者など専任の技術者がいること。
この要件は専任技術者と呼ばれる技術者のことで通称センギ(専技)と呼ばれています。専任技術者が居ることが要件とされていますが先の経管と同じでハードルは高いです。専任技術者とは、建設工事の請負契約の見積り、入札、締結、履行を確保するために、営業所に設置する専門的知識と経験のある者をいいます。
なので、営業所の常駐性が求められ名前だけ専技は認められません。専任技術者になるには、許可を受けようとする業種にもよりますが、資格要件や学歴、実務経験などがあります。要件を満たす国家試験に合格していれば比較的容易ですが、学歴も何もないと実務経験10年が原則必要になります。
この実務経験を証明するのが至難の業で、前職の会社の協力が不可欠になるため断念するケースも多いです。学歴要件で、許可を受けようとする建設業に係る指定された学科を修めている者は実務経験が短縮されたりしますが、建設業の場合は以前の会社と良好な関係にない場合が多いので証拠書類の収集にとても苦労されます。
先の経営管理責任者と専任技術者の要件はとても厳しいと思います。ちなみにこの2つの要件は条件を満たせば兼務可能です。
- 経営を維持できる資力があること。
建設業許可で大変なのは財政的基礎がしっかりしているかです。一般建設業許可と特定建設業許可では厳しさが変わりますが、比較的ゆるいとされている一般建設業許可の資力要件もなかなか厳しいです。
・自己資本が500万円以上ある
・500万円以上の資金調達能力を有する
・許可申請直前の過去5年間許可を受けて5年間継続した営業実績を有するこのいずれかの要件を満たさないといけません。
ちなみに特定建設業になると更にハードルが高くなります。ほとんどの方はまずは一般建設業許可を考えると思いますが、この500万円の要件も見せ金では駄目です。どこかから一時的に借りてすぐ返すなんてのもNG。バレた時は虚偽申請で許可が取り消されるばかりか5年間は許可申請が出来なくなります。建設業許可は500万円以上の建設業工事を受注するため、財政的基礎が担保されているかを証明する必要があるのです。
- 欠格要件に該当しないこと。
建設業許可を得るには欠格事項というものが設けられています。
つまり欠格事項に該当する者は上記要件を満たしていても許可はされません。
簡単に列挙すると、・成年被後見人若しくは被保佐人又は破産者で復権を得ないもの
・建設業の許可を取り消されて5年を経過してない者
・禁錮以上の刑(一定の場合罰金刑)に処せられ、その執行が終わった等から5年を経過してない者
・暴力団員等や暴力団員等をやめて5年を経過してない者
・その他大体上から4つが該当するかよくある例として注意したいところです。たまに暴力団員関係者を隠して申請しようとする者もいるようですが、公安に照会を掛けられますので簡単にバレます。過去の賞罰も同じです。法人の場合は役員等はもちろん建設業施行令第3条に掲げる者(いわゆる令3条使用人)が1人でもこれに該当するとダメなので申請の際には気をつける必要があります。
- 誠実性を有していること。
建設業じゃなくても誠実性を有することは当たり前だと思います。虚偽や不正な契約を結んだり、違法行為など信義誠実の原則に反するような者は許可は出ませんし、既に許可を取っている場合は許可が取消されます。建設工事は金額が大きくなる場合が多く、怪しい中間業者が介在しやすいのでこのような要件があるのではないでしょうか。
- 営業所が備わっていること。
営業所要件ですが、当然ですが建設工事を請け負うのに見積りや契約を交わすのに必要な机や椅子、接客スペース等を確保しなければ許可は出ません。自宅兼事務所でも良いのですが、営業所空間は完全に独立している必要があります。公私混同してはいけないということですね。また、物置小屋を営業所として主張するのも無理があります。実質的に営業所として経営管理責任者、専任技術者、令3条使用人の常駐し、建設業の事務を行える施設でなければいけません。
賃貸マンションなどの共同住宅も注意が必要です。所有者である家主から、事務所として使用することを承諾されていなければ許可は出ません。つまり申請人が建物を営業所として使用する権限があるのかが重要になります。シェアオフィスも同様に独立性が担保されていなければ許可は出ません。
以上が主な要件になります。また、各々更に細かい要件が定められています。
条件が満たしていないからといって一概に無理だと即答出来ないケースもありますし、許可が出るのか悩まれている場合はとりあえず一度ご相談下さい。今は難しくても、何をどうすれば許可がされるのか知っておくだけでも、将来申請する際にスムーズに事が運びます。
まずは一度お気軽にご相談ください。
ご依頼の流れ
- 許可申請等に関するご相談(初回無料)
まずは電話又はメールにて相談予約をお願いします。遠方の場合は出張費をいただく場合がございます。悩まれている場合は一度ご相談させて下さい。相談する中でご依頼者様にとって最適な指針を提示できればと考えています。許可が難しいと思った事例でも通ることもございます。ダメだと思い込む前にまずはお気軽にご相談下さい。
- 委任契約
許可の見込みがあり、弊所に代理を正式にご依頼を希望される場合には、許可完了までのスケジュールと費用の見積もりを提示します。その内容に納得されれば委任契約を交わして契約成立となります。弊所では証紙代及び諸経費の実費を前金でいただいております。新規の許可申請ですと10万円前後が着手前に必要となります。
- 書類作成及び収集
弊所が指示する申請に必要な書類等をご依頼者様に用意していただきます。住民票や身分証明書など弊所で収集出来るものは可能な限り集めますので、極力ご依頼者様の負担にならないよう致します(こちらが用意した委任状に署名押印をいただきます)。
- 申請書に押印後に正式申請
弊所で作成した許可申請書に押印をいただきます。全て揃ったら役所に正式に申請を行います。申請が受理された時点で請求書を発行してお渡ししますので、期限までに前金を除いた残額をお振込下さい。大阪府(一般・知事)ですと申請受付から許可まで約1ヶ月となります。どれだけ早く添付書類を揃えて申請書を完成させても、許可が出るまで最低1ヶ月は掛かります。
目安としては、ご依頼から申請までの日数次第ですが許可が出るまで1~3ヶ月は見積もって頂ければと思います。もちろん許可に必要な全ての書類が揃うのなら即日申請で1ヶ月程度で許可は出ますが、経験年数などの要件を満たすためにお客様自身が集めなければいけない書類に関しては時間が掛かる事が多いです。 - 許可
万が一、ご依頼者様の責めに帰すべき事由によらず許可が下りなかった場合は報酬部分はお返し致します。なお、役所に支払う申請手数料で、大臣許可の登録免許税以外は還付されませんのでその部分の返金は致しません。また、許可票(金看板)等は料金に含まれていませんので、ご依頼者様の方でご用意下さい。弊所で斡旋することも可能です(有料)。
建設業新規許可申請の費用
建設業許可申請ですが、新規申請の場合は大阪府だと申請手数料が必ず9万円は必要となります。これは行政書士に依頼しなくてご自身で申請される場合にも必要となる費用です。申請を弊所に依頼される場合は申請手数料とは別に報酬が発生します。報酬は下記の通りで、これに申請手数料と報酬を合計した金額が最終的にご負担いただく費用となります。
証紙代を記載せず報酬金額のみを全面に打ち出して営業されている同業者も散見されますが、個人的にはご依頼者様の誤解を招く恐れがあるのではないかと感じております。弊所以外の他の行政書士に依頼するにしても、必ず高額な申請手数料も必要であることをご承知おき下さい。
建設業 新規
新規許可申請 | 報酬額 | 申請手数料(大阪府) |
知事許可(一般)個人 | 120,000円+税~ | 90,000円 |
知事許可(特定)個人 | 140,000円+税~ | 90,000円 |
知事許可(一般)法人 | 130,000円+税~ | 90,000円 |
知事許可(特定)法人 | 150,000円+税~ | 90,000円 |
大臣許可 法人 | 250,000円+税~ | 150,000円 |
建設業 更新
更新申請 | 報酬額 | 申請手数料(大阪府) |
知事許可(個人) | 60,000円+税 | 50,000円 |
知事許可(法人) | 70,000円+税 | 50,000円 |
大臣許可(法人) | 130,000円+税 | 50,000円 |
建設業 業種追加
業種追加申請 | 報酬額 | 申請手数料(大阪府) |
知事許可(一般) | 80,000円+税 | 50,000円 |
知事許可(特定) | 90,000円+税 | 50,000円 |
大臣許可(一般)法人 | 120,000円+税 | 50,000円 |
大臣許可(特定)法人 | 140,000円+税 | 50,000円 |
建設業 変更
変更申請 | 報酬額 | 申請手数料(大阪府) |
決算変更届(1期分) | 30,000円+税~ | - |
その他変更届 | 20,000円+税~ | - |
経営事項審査申請
建設業許可を受けている建設業者が、国や地方公共団体等からの公共事業の入札に参加して工事を請け負うには、経営事項審査を受けないといけません。公共事業の入札に参加する気がない場合はあえて審査を受ける必要はないと思います。経営事項審査は申請日ではなく、審査基準日(通常は直前の決算日)から1年7ヶ月までが有効期間とされているので事業年度終了後に早めに行動に移す必要があります。経営事項審査を受けるには、通常の建設許可業者と同じように確定申告後に決算届を提出し、指定機関に経営状況分析申請を行います。これは財務諸表から経営状況を分析して数値化した経営状況分析結果通知書が届きます。この数値は通称Y点と呼ばれています。その通知を基に次は役所に対して経営規模等評価申請書を提出します。役所がその申請に基づいて申請者に総合評定値いわゆるP点を通知します。経営事項審査申請は、大阪府(知事)の場合ですと標準処理期間が約22日間ですから先程の経営状況分析と合わせて2ヶ月程は時間が掛かります。
P点 = 0.25×X1+0.15×X2+0.2×Y+0.25×Z+0.15×W
X1:年間平均完成工事高
X2:自己資本額及び平均利益額
Y:経営状況分析
Z:技術職員数及び年間平均元請完成工事高
W:その他評点
このP点が高ければ高いほど入札ランクにも影響するので、少しでも高い値が出るように日々経営努力をする必要があります。また、経営事項審査を受けただけで公共工事の入札に参加出来るわけではなく、入札参加資格申請を行い各役所の入札参加資格者名簿に記載される必要があります。弊所は経営事項審査申請に関してもお手伝いをすることが出来ますので、お気軽にご相談下さい。なお、P点を上げるために偽装申請で提出される方のお手伝いは一切引き受けるつもりはありませんのでご了承下さい。
建設業経営事項審査
各種申請 | 報酬額 | 手数料 |
経営状況分析申請 | 30,000円+税 | 実 費 |
経営規模等評価申請※ | 80,000円+税 | 実 費 |
※決算変更届の費用込み
入札参加資格審査申請
審査申請 | 報酬額 | 手数料 |
入札参加資格審査申請 | 30,000円+税~ | - |
建設業許可の業種(平成30年10月時点)
◎土木工事業
◎建築工事業
◎大工工事業
◎左官工事業
◎とび・土工工事業
◎石工事業
◎屋根工事業
◎電気工事業
◎管工事業
◎タイル・レンガ・ブロック工事業
◎鋼構造物工事業
◎鉄筋工事業
◎舗装工事業
◎しゅんせつ工事業
◎板金工事業
◎ガラス工事業
◎塗装工事業
◎防水工事業
◎内装仕上工事業
◎機械器具設置工事業
◎熱絶縁工事業
◎電気通信工事業
◎造園工事業
◎さく井工事業
◎建具工事業
◎水道施設工事業
◎消防施設工事業
◎清掃施設工事業
◎解体工事業
※解体工事に関しては、平成28年6月1日の法施行により、「とび・土工工事業」から分離され、新たに「解体工事業」として新設されることとなりました。平成31年5月31日まで経過措置が設けられて「とび・土工工事業」で解体工事を行う事が可能です。